朝起きたら突然ぐるぐるめまいに襲われる…ぐるぐるまわるめまいの中でも、特におおくの人を悩ませる病気があります。それが、良性発作性頭位めまい症といわれる病気です。専門用語では英語での名前を略して、BPPVともいわれますが、同じ病気です。今回はこの良性発作性頭位めまい症を中心に、なるべくわかりやすくお話ししますね。
耳の奥には、耳石とよばれる石がある
まずは、耳の解剖のお話をします。
耳の奥のほうには、内耳とよばれる場所があり、そこは前庭、半規管、蝸牛という部分に分かれています。前庭には「耳石」とよばれるカルシウムでできた石があります。普段は、頭を傾けることで耳石が重力でうごいて、体の傾きを感じ、無意識にバランスをとることが出来るようになっています。
良性発作性頭位めまい症は、どうしておこるの?
さて、耳の中には前庭という場所があり、そこには耳石という石があることをお話ししました。
上のイラストで、赤い小さいのが耳石のイメージです。良性発作性頭位めまい症は、この耳石がなにかの拍子でぽろーんと、はがれ落ちることで、めまいが起こる病気です。はがれおちた石は、半規管という、液体で満たされたトンネルのような場所の中をふわふわふわーと転がったり、おかしなところにひっついたりします。耳石がいつもとはちがうおかしな場所でころころふわふわ動いているためにバランスが崩れ、人ははげしい回転性めまいを感じます。
そもそもどうして耳石が剥がれ落ちるのか?ということは、現代の医学でははっきりとした原因は実はわかっていません。
良性発作性頭位めまい症の症状
患者さんは、朝目が覚めて布団から起き上がったときにぐるぐるまわった、美容院のシャンプー台でぐるぐるきた、などとおっしゃることがおおいです。そして、よくよくお話をきいてみると、ずーっとめまいが続いているわけではなくて、頭を動かしたときに数十秒から1分程度ぐるぐる回るけど、じーっとしていると一旦おさまる。でも、落ち着いたと思って頭を動かすとまたぐるぐるする、とおっしゃります。
めまいの1回あたりの時間は1分以内と短いけれど、頭を動かすたびに繰り返すというのが、この病気の特徴的なところです。頭を動かすと、耳石が重力にひっぱられてうごくため、めまいがおこる、というメカニズムです。
良性発作性頭位めまい症になりやすい人って?
耳石はカルシウムからできているので、カルシウムのバランスが崩れるとなりやすくなります。50歳代以降の女性で、骨粗しょう症や、閉経したかたにおおく起こる病気であることがわかっています。もちろん男性や、もっと若い方でおこることもあります。
また、強く頭をぶつけてしまって起こること、ほかの耳の病気(突発性難聴や、メニエール病)と関連して起こることもあります。
病院では、よく整形外科で手術した後にしばらくベッドで安静にしていたご高齢の方で、手術したところはよくなったのに、めまいがしてベッドからおきあがれなくてなんとかしてくださいーなんて依頼がきたりもよくある話です。安静にしていた人におこりやすいというのは、治療のお話にもつながってきます。
まとめ
- 良性発作性頭位めまい症は、耳の中の石がはがれ落ちることで、めまいが起こる病気
- めまいの1回あたりの時間は1分以内と短いけれど、頭を動かすたびに繰り返すことが多い
- 50歳代以降の女性がなりやすいが、若い方や男性のこともある
治療については、また別の記事を書きますね。
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