良性発作性頭位めまい症~治りやすいタイプ、治りにくいタイプ~

めまいのはなし

朝起きたら突然ぐるぐるめまいに襲われる…多くの人を悩ませる、良性発作性頭位めまい症。つらいですよね。専門用語では英語の頭文字をとってBPPVともいいます。実はこの病気には、治りやすいタイプと治りにくいタイプがあるのを、ご存じですか?

良性発作性頭位めまい症 そもそもの原因は?

良性発作性頭位めまい症は、耳の奥にある「耳石」がぽろーんと、はがれ落ちることで、めまいが起こります。そしてはがれおちた石は、半規管という、液体で満たされたトンネルのような場所の中をふわふわふわーと転がったり、おかしなところにひっついたりします。耳石がおかしな場所でころころふわふわ動くためにバランスが崩れ、はげしい回転性めまいを感じます。

耳石のゆくえでちがう、3つの「型」

さて、はがれた耳石はどこにいくのでしょう。実は、耳石のゆくえによって、良性発作性頭位めまい症は3つの「型」に分けられます。

三半規管には名前の通り、3つの管があります。それぞれ、前半規管、後半規管、外側半規管といいます。

良性発作性頭位めまい症では、このうち、後半規管と外側半規管に耳石が落ちることがほとんどです。

後半規管に落ちた場合は、良性発作性頭位めまい症の「後半規管型」、外側半規管に落ちた場合は「外側半規管型」、そして前半規管に落ちた場合は「前半規管型」といいます。

前半規管型はどうして少ないの?

なぜ前半規管には落ちず後半規管と外側半規管に落ちるのかというと、人が寝ているときに取りやすい頭の向きが関係しています。

あなたは夜眠りにつくとき、どんな姿勢で眠りますか?多くの人はあおむけか、あるいは横向きなのではないでしょうか。私はずっとうつ伏せで寝ているよ、という方は、あまりいらっしゃらないと思います。人が生活する中で、うつぶせになっている時間はとても少ないんですね。

さて、前半規管は3つの半規管のうち、前のほうにあるトンネルになります。したがって、前半規管に耳石が落ちようと思うと、うつぶせにならないと難しいんですね。人がうつぶせになることはあまり多くないので、したがって前半規管に耳石が落ちるタイプの良性発作性頭位めまい症はとても頻度が少ないです。でも全くないわけではなくて、まれにそんな患者さんにも出会うことがあります。

耳石のゆくえが違えば、治りやすさも違う

良性発作性頭位めまい症では、「外側半規管型」と「後半規管型」がほとんどとお話ししました。実は、型によって治りやすさも全然ちがうんです。

外側半規管型と後半規管型、それぞれの型での自然治癒までの平均日数を調べた研究によると、外側半規管型では9-13日、一方で後半規管型では39日という結果があります。型によって、治るまでの日数になんと3倍もの違いがあるんですね。

また、耳石置換法という治療を行わずに経過を見た場合、1ヶ月後に治っている確率は、外側半規管型では95%以上ですが、後半規管型では65%にとどまるという結果だったそうです。

もちろん患者さんによって個人差はありますが、実際に自分が診察していても、やっぱり後半規管型の方は治るまでに時間がかかります。

外側半規管型は治りやすいタイプ、後半規管型は治りにくいタイプ、ということになります。

めまいで病院を受診して、良性発作性頭位めまい症と診断されたときには、自分がどちらの型なのかまでわかると、治りやすいかどうかの予測もできるんですね。先生からお話を聞く際、型まで意識できるといいですね。

まとめ

  • 良性発作性頭位めまい症は、はがれた耳石のゆくえによって、3つの「型」に分けられる。
  • 人がとりやすい頭の向きの関係で、前半規管型は少ない。
  • 外側半規管型は治りやすく、後半規管型は治りにくい。

良性発作性頭位めまい症の3つの型についてお話ししました。実は、型によって治りやすさだけではなく治療も異なります。それについてはまた別の記事でお話ししますね。

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